[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」

朝日連峰 三面川岩井又川畑沢

2001年8月11日(土)〜8月15日(水)
L増田、西、満田


自分にとっては初めての三面川流域。また、朝日での初めてのリーダーとあって期待と不安の入り混じった気持ちで望んだのだが……。コースを間違えて結果的に集中を断念するという情けない結果に終わってしまった。しかも、どこをどう間違えたのかいまだに判然としない。自戒の念を込めてありのままに報告することとする。

8月11日(土) 曇り
朝日スーパーラインが通行止めになっていたため、アプローチ方法についていろいろと迷ったが、8月8日にスーパーラインが全線開通し、奥三面ダムまでは入れるということがわかったので、予定通り三面側からの入山とした。ムーンライトを終点の村上で降りて鶴岡に向かう八久和パーティーと分かれる。駅前からタクシーに乗り奥三面ダムまで。奥三面ダムのダムサイトでゲートが閉まっており、そこから先は工事用車両しか入れない。

準備をして歩き始める。車止めまで2時間半、当初二子島公園から歩くことも覚悟していたのに比べれば、どうってことはない。同じく岩井又に入るという二人パーティーが我々を自転車で追い越していった。用意周到だ。ラッキーなことに半分も歩かないところで工事関係の人が拾ってくれた。車止めまで乗せていってくれるとのこと。ありがたく好意に甘える。10時車止め着。登山者ノートを見ると、本日、梁山泊と早蕨が入渓しているようだ。

準備をして右岸側につけられた登山道を歩き始める。頭上をヘリがうるさく飛び交っている。非難小屋近くの吊橋の架け替え工事をやっているらしい。名物の一本丸太のおっかない吊橋もついになくなるのか。登山道をしばらく歩き、適当なところで踏み跡を三面本流に下る。

本流に下ったとたんにアブの来襲。他の二人は防虫ネットをかぶっているが、私はあれをかぶると前が見えなくなるのでスッピンをさらしながら歩く。三面川本流は、チャラ場と瀞が交互に現れる穏やかな流れだ。水量は例年より少ない。川幅いっぱいに流れる瀞が日の光に照らされてエメラルドグリーンに輝いている。足の届かない瀞を全身水に浸かって両岸の岩につかまりながらそろそろと進んでいく。1時間あまりの遡行で岩井又川出合に到着。気が狂いそうなほどの虻で遡行図の記録もままならない。

岩井又川に入るといきなり淵が現れてつかり、泳ぎの連続となる。モカケ沢出合の右岸にいいテン場があり、他の二人が疲労を訴えていたので、だいぶ早いが今日はここまでとする。釣り初挑戦の私が岩魚を狙いに行くも当然のように坊主。自分にはまだ魚がよく見えていない。釣りのテクニック云々よりまずそこからだろう。焚き火のそばで寝ていたが、夜中の1:30雨のためテントの中に逃げ込む。

8月12日(日) 小雨
朝起きると雨が降っている。気分が重いが、今回我々には停滞している時間的余裕はない。幸い出発のパッキングの時には止んでくれた。

釜を持つ3mの滝は左岸の枝尾根から踏み後に従って簡単に巻ける。両岸ゴルジュとなり幾つか続く淵をつかり・泳ぎで突破する。ガッコ沢を過ぎ、長い淵を持つ5mの滝はこれも左岸の踏み跡を拾って簡単に巻ける。

次に、ゴーロと瀞・淵が交互に現れる。このあたりの淵は西さんが果敢にトップでリードする。下ケタ倉沢を過ぎると沢が開けて巨岩のゴーロ帯となる。4mの滝もオクゾウ沢先の2mの滝も左岸から巻く。マガ沢出合上の淵は長く、奥のほうは流れが強いので、途中から左岸に上がるとサゾウ沢出合までしっかりした巻き道がついていた。釣り師が多く入るせいだろうかここまで巻き道は非常にしっかりしている。サゾウ沢出合にはテントが張ってあり、釣り師と思しき人が一人いた。もう少し行けばアブはいなくなるとのこと。ほんまかいな。

ウデコエ沢のところで沢は大きく右に曲がり、やがて左岸に大絶壁が現れる。100mを超えるルンゼ状の滝を架けて枝沢が合わさっている。その先の淵は浸かって行けば行けないことはなさそうだが、ここまでの浸かりで寒さを覚えていたので左岸をへつり気味に巻き、どん詰まりから8m程の懸垂で降りる。

やがて両岸ゴルジュ状となり、小滝と淵、そして巨岩帯となる。今回の山行を通じてこの巨岩ゴルジュ帯が一番圧巻で、朝日のスケールを感じることができた。ボルダリング、渡渉、釜のへつり・浸かりが連続し楽しい。ゴルジュの出口あたりで後続パーティーが姿を見せる。小上戸沢を過ぎた右岸に岩の隙間があり、そこを荷揚げしてボルダリング。ここで、後続パーティーに先を譲る。名古屋ACCのガッコ沢パーティー。今朝末沢橋から入渓したとのこと。ガッコを狙うだけあって、さすがの足並みだ。川前裏沢を抜けると沢が広がる。大上戸沢出合で時間も時間だし、本日の行動を終了する。

本日の食当は満田さん。前評判に反して非常にgoodでした。長南さん、失礼な発言は控えるように。途中で雨が降ってきてテントに逃げ込む。

8月13日(月) くもりのち晴れ
明日の集中を考えると今日はできれば稜線に上がりたい。畑沢までは平凡なゴーロ歩きだ。モッコ沢、カンベ沢あたりはスラブ状の滝で本流に落ちてきている。1時間あまりで畑沢出合。
畑沢に入るとやはりゴーロではあるが、勾配が急になる。急にペースが遅くなり、嘉助滝に着いたのは12時近くになっていた。稜線に出られるか心配になる。

嘉助滝は15m程の落差で勢いよく水煙を立てている。上部にはさらに滝があるようであるが、下からではよく見えない。戻って左岸のルンゼから巻き始める。まきの途中から見ると、上段の滝は80m程で、下部はトイ状、上部はスラブ状となっている。1時間ほど巻いて一旦枝沢に降りる。枝沢は15mほどの滝を架けて本流と合わさっているが、ここで本流に下りても先ほどの80mの滝は登れないため、枝沢をさらに登り、適当なところからトラバースを始める。トラバースの途中から覗き見ると80mの上にも20m、15mと滝が現れ、いずれも登れそうにないため、幾つかのルンゼを超えながら延々とトラバースしてしまった。そして降り立った15m滝上。延々4時間20分におよぶ高巻きとなった。今にして思えばこれは本流が左に屈曲する地点から分かれる支流だったのだが、我々はこれを本流と思い込み、登り始める。途中、右に屈曲する点がないのはおかしいと思いながらも、幾つかのルンゼを超えてきたため、屈曲点の上に出てしまったのかも知れないなどと思いながら登り続けた。

本日中に稜線に出ることはあきらめ、テン場を探しながら登る。西さんが源頭部の左岸草原上にテン場を見つけて行動を終了する。テン場は若干傾斜しており、湿原状で糠蚊がいっぱいであるが、この際贅沢はいえない。

夕日がきれいだった。対岸の西俣沢あたりには雪渓がびっしり着いていた。夜は満天の星だった。西さんと兄弟の契りを結ぶ。

8月14日(火) 曇り時々晴れ
このまま水流をつめていけば1813.7mと西朝日の間の鞍部に詰め上がる。とこのときはまだ信じていた。1時間ほどで稜線に詰め上がる。踏跡がない?。とりあえず稜線伝いに左方向にやぶこぎを始める。しばらくたって我々はとんでもないところに詰め上がったことを知る。なぜだろう、どこで間違えたのか、今日中に集中地点までいけるか。頭の中を疑問がぐるぐる回るが、とりあえず目の前のやぶこぎをやっつけることが先決。西さんは爆発的なパワーを発揮してやぶこぎを先導する。さすがは「このみち」の経験者だ。

2時間ほど頑張ってやっと1813.7mピークに到着。荒川右岸の絶壁、大朝日から西朝日の稜線、そして我々の登ってきた畑沢源頭部がよく見える。ここから西朝日までは踏み跡がある。

西朝日到着は11時前となった。原因分析は後回しにして今後の行動方針を立てる。ここから大鳥池までコースタイムで7時間45分。しかし、すでに満田さんの疲労はピークに達し、途中で暗くなることも考えると10時間はかかるだろう。この時点で集中をあきらめ、竜門から日暮沢小屋に下ることを決断する。13時の交信が通じなかったときのことを考え、とりあえずトガちゃんに携帯電話でそのことを伝える。

竜門へ向かう登山道から見下ろすと、畑沢本流はかなり上部まで白い川原を見せて西朝日に迫っている。我々のルートミスは明らかとなった。

竜門山に荷物を置いて竜門小屋まで水をもらいに行き、ついでにビールを買う(1本800円)。13時の交信で八久和の両パーティーと交信が取れてほっとする。

途中15時の交信を交えながら日暮沢小屋へ下る。日暮沢小屋は3年程前に新しく建て直した3階建てのきれいな小屋だ。他にも2パーティーほどいたが、我々は3階を独占した。昨夜と打って変わっての快適さに思い切り足を伸ばしてくつろいだ。

8月15日(水) 快晴
歩き始めて少ししたら親切な登山者に拾ってもらった。とりあえず見附の集落まで送ってもらったが、町営バスがお盆の間は運休していることを知り、結局山形市内まで送ってもらった。行き帰りとも東北人の暖かさに触れる旅だった。


《コースタイム》
8月11日:奥三面ダム(8:30)〜車止め(10:00〜10:25)〜三面川本流(11:15)〜岩井又川出合(12:25〜13:10)〜モカケ沢出合(14:20)
8月12日:モカケ沢出合(8:00)〜ウデコエ沢出合(13:00)〜川前裏沢(17:00)〜大上戸沢出合(17:30)
8月13日:大上戸沢出合(7:10)〜畑沢出合(8:25〜8:55)〜嘉助滝(11:50)〜高巻き終了(16:10)〜源頭部草原(18:30)
8月14日:源頭部草原(7:20)〜稜線〔1691m〕(8:20)〜1813.7mピーク(10:25)〜西朝日岳(10:50〜11:15)〜竜門山(12:05〜13:15)〜日暮沢小屋(17:30)


《反省点》

後でS62年の佐藤さんたちの記録を読むと嘉助滝の高巻きは左岸からとなっている。我々の判断はここで間違っている。
過去の記録を記憶に入れて入山することは、答えを見ながら登るのと同じで、面白みに欠けるが、今回の場合、ポイントである嘉助滝の部分だけでも記憶しておいたほうがよかったか。
初日に早めに行動を終了してしまったところに油断があったように思う。不確定要素を考えて初日はもっと行動すべきであった。

《データ》
* タクシー代;村上〜奥三面ダム;約9000円
* アブ;畑沢に入るとほとんど気にならないくらいとなる。(ただし今年は少なめとのこと)
(記:増田)