1999年12月25日(土)〜26日(日)
L戸ケ崎、満田、小坂他
12月25日雪
ここ数年では珍しい大雪である。天元台スキー場を降りてきた登山者によると、わかんで腰までのラッセルとか。折しも寒冷前線通過中による強風と寒さに加え、引き続き冬型になっての天候の悪化が予想される。スキー場での練習を早めにきりあげ、本日の行程を開始する。
リフト終点でシールをつける。中大嶺までモンスター状の木々を縫うようにジグザグに登る。スキーで膝下くらいのラッセルだ。たまに、木の間に足元を取られる。わかんではとても登る気になれない。木の丈が低くなり、ひらけてきたところが中大嶺ピーク付近だ。ここから、進路を南南西に取る。
予想通り下り坂の天気。ホワイトアウトで視界がきかない。木がまばらな周囲の様子から、湿原にいるんだろうとわかる程度。目印となるべき梵天岩や天狗岩の姿はない。ひたすらコンパスを頼りに進んでいるつもりが、一周していることに気づく。立ち止まって軌道修正する。目を凝らすと、道標のポールが見えて、ほっとする。「平らになったこの雰囲気は小屋が近い」と言う、戸ケ崎さんと守屋さんだが、あまりの視界の悪さに、果たして小屋は見つかるのか。湿原になり、下りになってきている地形から、小屋を通り過ぎていることに気づく。戻りかけてすぐ、見当をつけていなかった方角になにやらぼやーと木立のような影。10mくらいまで近づき小屋と確認できたときのうれしさ。正直よく見つかったと言うくらいの悪条件だった。
西吾妻小屋の2階を居心地よくしつらえる。梁にツェルトを渡す。小屋の中といっても冷蔵庫の中にいるような寒さなので、早速火をたき、調理にかかる。守屋シェフのクリスマスディナーは、前菜2品を加えたら、10品を数えるお品書きつき。夜行バス待ち時間に配られていたこのお品書きが満田さんと私のインセンティブ。満田さんのラッセルパワーの原動力だったのだ。いやがうえにも高まる期待。守屋シェフのはからいにより、この際ディナーのオーダーは無視し、体を温めるものから、先に作られていく。美味しいものを食べ過ぎないように注意しながら食べるのは難しい。おなかも一段落ついた時点で、「あと5品あるよ。」アボカドに、豆腐半丁。これだけでも山ではびっくりされた経験のある私だが、そんなもんではきかない。次から次へ現れる高級食材におどろきあきれた。下界でもりっぱにレストランのコースとして通用する。くわしくは、お品書きを参照あれ。話変わって、戸ケ崎さんが朝日パーティとの交信を試みたが、交信できず。鳥原小屋をめざして悪戦苦闘を強いられているに違いない一行の無事を祈った。
12月26日雪
悪天候とルートファインディングの難しさを想定して、早めの行動にでる。相変わらず視界はきかないが、さいわい、昨日の風はおさまっている。たっぷりの朝食のおかげで力がついて、西吾妻山の登りはあっという間。でも、ここからがルート選定の難しさ。中ノ沢を右手に見ながら滑っていけばいいとわかっていても、この悪天候。また、この西吾妻山のピークはのっぺりした台形だ。ほんの少し角度を変えただけで、違った降り口を選んでしまうことになる。慎重に慎重を重ねすぎた結果、早めに右トラバースをしてしまったらしい。正しい尾根にのったと思ったが、どうやら一番右よりの、すぐ中ノ沢に落ちる短い尾根だったようだ。
視界が開けた瞬間遠望すると、沢を挟んで左手に、手前に短い尾根と奥に長い尾根が2本見えている。奥の長い尾根が正しい尾根だ。急傾斜の沢を真下に見て、左向きにトラバース開始。この進路修正地点は戸ケ崎さんによると1610m地点との読みであったが、結果的に正しかった。表層なだれの危険のあるトラバースなので、間隔をあけ、慎重に行く。ルートが明確にならないため、シールははずさない。割合スムーズに左からの尾根と合流して、平らなところに出る。
その平地は1610mのはずだが、その前からかなり滑ってきた感覚から、1548m地点にも、1332m地点にも思える。高度計は壊れたとのこと。とにかく中ノ沢に近づき過ぎないように行く。中ノ沢を挟んで対岸からはグランデコスキー場の音が聞こえているものの、徒渉するには沢まで急下降過ぎている。沢に沿ってまたトラバースをし、斜め左上の尾根に向かって、少し登り返し、窮地を脱出する。そこではじめて位置とコースが明確になった。高度計も狂ってなかったのか、1332mといっている。「単独行のつもりで」ひとりでラッセルしてきた戸ケ崎さんだが、ここで息がつけたようだ。結局、遠望していた短い尾根と長い尾根2本を両方つないできたことになる。
そのあとは軽快に(?)滑り降りた。徒渉点は戸ケ崎さんが偵察し、ひとりずつスノーブリッジを渡った。渡ったところからは林道で、そのままグランデコスキー場に合流した。
<感想ひとこと>
最上級レベルの山越えであった。ルートファインディングなどよくわからないままついていった私であったが、地図や磁石、地形の見方など、勉強になることが多々あった。感覚はあてにならない。コンパスと高度計は必需品。(記:小坂)
《コースタイム》
12/25 天元台リフト終点出発12:10〜西吾妻小屋到着14:55
12/26 西吾妻小屋出発9:00〜9:45西吾妻山ピーク付近〜10:10右寄り尾根上〜12:00左へトラバース開始(1610m地点)〜13:00平地(1610m)〜14:00尾根上(1332m)〜15:00グランデコスキー場出合〜15:20グランデコスキー場下