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南紀:大塔川黒蔵谷本谷

1999年5月1日(土)〜4日(火)
L佐藤・増田・長南・小坂・大塚


5月1日(土) 晴れ
前夜池袋を出た夜行バスが7:30に新宮に到着。次の大和八木行きバスを待ってのんびりと準備時間を過ごす。私は駅のトイレにウエストバッグを置き忘れ、思い出していって見ると財布の中身53,000円ほどがすっかり抜き取られていた。今回の全財産だ。ショック!!バスの時間も迫っていたし、現金だけでは帰ってくる望みもないのであきらめて出発。幸先の悪いスタートとなった。

湯川温泉にて下車。道路を歩き始める。いい天気で汗ばんでくる。約2時間ほどの歩きで黒蔵谷出合いに到着。出合い近くの河原で支度をし、昼食をとって出発。
少しゴーロ歩きがあって、魚止めの滝(鮎返しの滝)を右岸より巻く。両岸はゴルジュ状だが、河床はゴーロという渓相がしばらく続く。沢が右へカーブし枝沢が左から合わさる手前あたりから本格的なゴルジュが始まる。最初の淵はへそまで水に浸かりながら一旦右岸へ渡ってのち中央を突破。次に大岩に架かる倒木の下をくぐる。そこから先は淵や瀞の連続。開けてエメラルドグリーンに輝く所もあれば、狭く蛇行しながら暗い水を湛えているところもある。そんな所をある時はへつり、ある時は浸かりながら快適に突破していった。天気が良く、水に浸かるのもさほど苦にならない。

ゴルジュが切れて河原状になり、右から枝沢が2本合わさると、その先の瀞で出谷と出会う。出合いから出谷の滝が見える(15:20)。そろそろ予定地点なのでテン場を探しながら歩く。淵のところで蛇に出会う。蛇は淵を泳いで我々が歩こうとする右岸の岩に上陸しようとしていた。みんな急ぎ足で通過する。約1名蛇が好きらしく、蛇の方に頭を向けて転倒してしまった。見ていた方も焦ったが、たぶん本人は生きた心地がしなかっただろう、蛇との距離は1mぐらいになっていたか。

出谷の出合いの少し上にテン場を定めた。今夜は2パーティー一緒なので焚き火を囲んでの豪華な食事となった。佐藤さんは下痢気味で早々に寝てしまった。小坂さんがけんちん汁調理中にビリー缶をひっくり返して火傷を負ってしまった。

5月2日(日) 晴れ
5:30起床、7:45発。少しゴーロを歩き、第2のゴルジュ帯に突入。30m位の長い瀞、宗像、佐藤、長南、増田は左岸を巻き、その他は右岸をへつりで突破。次の淵二つは右岸をへつる。次の淵は奥に滝があり、突破は困難そう。左岸からの巻きかと思ったが、宗像さんに右岸だと言われそれに続く。少し登ってルンゼをトラバースし、懸垂下降。下が見えず、トップの宗像さんも手間取っている様子。滝の上部左岸は絶壁となっており、あちらに回っていたらどうなっていたことやら。今更ながら宗像さんの眼力には恐れ入る。ザイルを2本繋いでの約30mの懸垂は、自分としても久しぶりの実践での懸垂で少々力が入りすぎた。レスキューに参加できなかったハンディーを感じる。10名全員の通過に1時間30分ほどを費やしてしまった。

その後も淵や瀞が連続し、ヘツリや小さな巻きで通過する。左から枝沢をあわせ、沢が右へ曲がったあたりで休憩。次に5m×30mの長い瀞は右側から空身で登り荷渡しをする。しばらく行くと淵をもつ5mの滝。ここで普段決して率先して泳ぐことのない宗像さんが先陣を切って泳ぎだした。滝の左側にぶら下がっているシュリンゲに足を掛けて這い上がる。あとは順番に荷を渡して同じ要領で泳ぎ渡った。全身ずぶぬれだが天気が良くそれほど寒くはない。時間節約のため、佐藤さん、満田さん、小坂さんは右岸から巻いたが、ちょっといやらしかったようだ。

淵を二つほど越えるとゴーロになり、これにて第2ゴルジュ終了。大岩の左を越えて二俣となる。高山谷の出合いだ。昼食休憩の後、高山谷に入る宗像パーティーと別れ、我々は左の黒蔵本谷へ。しばらくゴーロを歩き、淵をもつ8mの滝。滝の左にシュリンゲが架かるが、淵を泳ぐのがいやで右岸を巻く。その先は巨岩のゴーロ帯となり、空身&荷揚げを何度かやって通過。
左から枯れ沢を合わせると再びゴルジュ帯となり、本遡行の最大の山場である黒蔵滝を迎える。地図上ではカンタロウ滝と表示されている黒蔵滝は2段の滝で、下段は15m。右岸の枯れ沢から巻いて滝上に出る。上段は35mでさすがに迫力十分だ。
滝の右のルンゼを登ることにする。長南さんがトップで空身で登り、1ピッチ切って荷揚げをする。ルンゼは足場が悪くザックを置く場所もないため、二番手の私がザックを背負ってさらに上の足場の安定したところまで登った。その際、ガレている上に荷揚げで踏ん張ったため石が緩んでいて、かなり落石を落としてしまった(ごめんなさい)。全員が安定地点まで登り、もう1度長南さんが空身ノーザイルでルンゼを登り切り、次に私がザックを背負って確保してもらって登ったが、最後の方はほとんど垂直に立っていて腕がパンプしてしまった。
登り切った地点からとなりのルンゼを覗きに行くと、そちらの方が勾配が緩やかなので、後続者には隣のルンゼから登ってもらうこととする。そのことを伝えるためと自分のザックを取りに長南さんが今登ってきたルンゼを懸垂で降りていった。その間に私は隣のルンゼにザイルを移動してフィックスする。フィックスしたザイルをつかんで全員が登り切った。高巻きを終了したのは17:15、実に3時間も費やしてしまった。高巻きの間中佐藤さんは激しい腹痛に襲われており、よくあの状態で登ったものだ。
降りたところは沢が左に急曲しているところで、右から枝沢が合流している。左に曲がると深い淵があり、両岸立っていて泳がなければ通過不能。この時間に水泳する気は起こらず、もう一度高巻くことにする。カーブの手前右岸を上り、沢の急曲部を乗越す様に巻いた。

18:00テン場着。長い一日が終わった。疲れているので宴会も早々に寝るかと思えばさにあらず。始まりが遅かった分きっちり終わりの時間も遅かった。

5月3日(月) 晴れ
テン場を出発して左から枝沢を合わせると巨岩帯となる。次に大きな淵をもつトヨ状10mの斜瀑。滝の右から佐藤さんが空身で取り付き、トヨ状の水流の真ん中をツッパリで登る。次に確保してもらって私、大塚さんと続く。大塚さんは長い手足をフルに活用してまるで危なげなし。ここで佐藤さんが自分の荷物を取りに下降し、私が確保に回る。次に小坂さんが登って来た。確保しているザイルにいきなりテンションがかかる。滑った!!。下で見ていた長南さんに言わせると「鯉の滝登りのようだった。」らしい。登ってくるスピードに追いつかずザイルがたるみ気味だったことを反省する。
淵を持つゴルジュがしばらく続く。右俣に大きな(25m位?)滝が見える二俣を左へ。次の淵は泳ぐ。ゴルジュはここまで。たぶん第3ゴルジュの終了だ。
沢が開けてきてゴーロ帯となり、遡行のピッチもあがる。ゴーロ帯に所々現れるプールにアマゴの姿を発見。左から、右から涸れ沢を合わせるとその上にトヨ状8mの滝。これが地図上の「黒蔵滝」か?あまりの迫力のなさに疑問が浮かぶ。そこを過ぎると沢は明るく開け、苔むした乾いた石のゴーロとなる。沢の脇の台地には炭焼き小屋の跡が多く、ちょっと人臭い。テン場適地多し。
水が涸れてガレ場となる。このまま終わりかなと思ったら、3段の滝が出現。下段8mを直登し、中段15mは右岸を巻き、上段の12mは左岸を巻く。次の5mの滝を直登すると、その上に三俣(の様に見えるところ)が現れる。このあたりまで来ると地形図上の区別は判然とせず、どこを行ってもツメ上がり点も大差ないので、登り易そうな所を選んで突き進むのみ。スラブにぶつかって左に逃げ、少々藪をこいで尾根に出た。
10分ほど歩いて13:45分 野竹法師着、遡行を終了した。14:00も15:00も交信に応答はなかったが、ゴンニャク山から集中地点の椿尾峠に向かう途中で着信あり。15:50宗像パーティーの待つ椿尾峠に集中した。ほぼ予定どおりの時刻に集中でき、一同満足。記念撮影をして下山する。

伐開地で道に迷ったが大過なく17:00頃登山口着。河原にテン場を選んで早速焚き火で宴会。その夜の宴会が一番盛り上がったのは言うまでもありません。夕方頃雨がパラついたが、その後は雨もあがり一時は星も見えた。今回の山行は本当に天気に恵まれた。南紀に来て一日も雨が降らないなんて奇跡的だ。ちなみに去年は雨の降らない日が一日もなかったのだ。私にとっては幸先の悪いスタートだったが、終わり良ければ全て良しと考えよう。

5月4日(火) 雨
早朝から雨、紀伊田辺に向かうグループと湯の峯温泉グループに分かれる。

PS:小坂さんの火傷はかなりの重傷でした。皆さん焚き火による火傷には十分注意しましょう。佐藤さんの下痢もものすごく重傷でした。山行前のサンマ寿司には注意しましょう。


《コースタイム》
5月1日(土)
新宮発(9:00)〜湯川温泉(10:00)〜黒蔵谷出合い(12:10〜12:55)〜出谷出合い(15:20)〜テン場(15:30)
5月2日(日)
テン場(7:45)〜高山谷出合い(11:40〜12:30)〜黒蔵滝(14:10〜17:15)〜テン場(18:00)
5月3日(月)
テン場(7:15)〜地図上の黒蔵滝(9:15)〜野竹法師(13:45〜14:10)〜ゴンニャク山(14:40〜15:07)〜椿尾峠集中(15:52)
《データ》
バス代(尾和田橋→紀伊田辺)1,750円
タクシー代(紀伊田辺→カンポの湯)1,380円 カンポの湯 600円