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大菩薩・泉水谷水ノミバ沢

1998年11月15日(日)
L戸ヶ崎・宗像・満田・長南・小坂


 泉水谷といえば小室川、私の遊び場がある。遡行を終えて、丸川峠から山道を
下って出た林道に大きく曲がるところがあり、そこに堰堤を擁して出合う沢が前々から気になっていた。名著『奥多摩・大菩薩の谷123ルート』も取り上げないこの沢はどんなところなのだろうか。

 前日午後ジェミニで泉水谷林道へ。入口のゲートが閉まっているが容易に開けられる。工事の看板があるので無理をせず、入口に駐車する。ゲートの50m先の踏み跡から河原に下りて幕場とする。薪あり、テントサイトありで環境は良好。ここでのキャンプは、釣り師のいないオフシーズンに限られるだろう。

1  泉水谷林道は、崩れた土砂で埋まっているところがあったが、除去作業はほぼ終わっていた。だらだらと登りが続くので酔い覚ましの運動にはなる。林道から見下ろす泉水谷は美しい。丸川峠方面に左俣(本流源流部)を分けると長いナメが続き、これから遡行する未知の部分への期待が高まる。ただし、最新の地形図には、目指す沢の源頭付近に堰堤印がたっぷり増えている。

2  水ノミバ沢は、出合いにこの上なくこきたない堰堤があるのでイメージが悪い。堰堤手前の右岸から密かに出合う大沼沢の方がいいかな、なんて思ったりするのだ。堰堤は右から越える。踏み跡がある。

3  少し行くと3mの滝。左から簡単に越えた落口付近が二俣。本流は左に屈曲する左俣。明るくて美しい、晩秋の遡行にぴったりの沢ではないか。2級品でもなめっぽい。ほりだしもんめっけの気分は上々。

4  細いながらも緩く続く明るい瀬。しかし、測量の跡や刈り払いされた踏み跡が現れ、人臭くなる。地形図の堰堤マークが気になる。

5  水量が減り、泥っぽくなる。水線通しにも藪が覆いはじめ、奇妙な地形の三俣に出る。平坦な場所に幅50cm深さ30cm程度のどぶがくねっている。もはや沢ではない。堰堤だらけの右俣を避け、真ん中を行く。

6  もう早く止めにしたいのだが、もみじ苺や茨の刺が私たちを歓待してくれてなかなか終えられない。左岸側の砂礫のぐずぐずから取りついて、とげとげをいたいいたいしながら登ると登山道に出た。

7  黒川山(鶏冠山)から水ノミバ沢右俣を下ろうと言う者はいなかった。そこで、黒川金山跡経由の道を下ることにする。登山道を採るとかなりの遠回りになるので、鶏冠山手前の鞍部から踏み跡の気配を探しながら東南へ延びる尾根を行く。どうやらうまく廃道にのったらしい。

8  金山跡から地形図に載っている黒川沿いの道はない。眼下に青梅街道が見えてしばらくで元の駐車場に着いた。長年の疑問が晴れすっきりした山行だった。

なお、水ノミバ沢右俣は課題ではない。(記・戸ヶ崎)


〔コースタイム〕
三条新橋(800)〜水ノミバ沢出合(930-940) 〜登山道(1115-1125) 〜黒川山(1150-1220) 〜登山道(1315-1325) 〜三条新橋(1500)


鶏 冠 山 鶏 冠 山 鶏 冠 山 鶏 冠 山 鶏 冠 山 鶏 冠 山

 イバラに顔をひっかかれながら尾根道に出たときには、右俣沢を下る気持ちはなくなっていた。登りにとった左俣沢は泉水谷からつづく美しいナメがあったが次第に荒れた沢の様相を呈してきた。古い地図には載っていないえんていや林道がつくられたせいか。人の手が加わりすぎて荒れてしまったのか、乏しい知識でいろいろ考えてしまった。それでも富士山をいただいた大菩薩嶺柳沢峠へのシルエットは美しかった。下りにとったけもの道の尾根ルートはフカフカの土と落葉の急下降。あちこちほりかえされたあとがあり赤松林とあらばマツタケか。マツタケの幻影をみたあとで、金山跡地では金と集落と遊廓の幻影をみた。

 前夜の完ぺきな焚火と星空は晩秋の気配を惜しむかのようであった。(小)