1997年10月11日〜12日
L松江・佐藤義
越後三山・水無川・北沢へ入る計画であったが、新潟地方の天気予報があまりかんばしくないため、急遽、奥秩父の古札沢に変更した。松江氏の新車にて奥秩父へと向かった。
10月11日(土) 晴れ
天狗トンネル手前から、滝川本流へ下降した。本流は川原が多く、所々ゴルジュや釜を持った小滝が続く中を遡行していった。金山沢出合の釜を腰まで浸かってヘツった時は、流石に下半身がジンジンとしびれてしまっていた。やはり、この時期、水に浸かるのは辛い。釜を持った4mの滝は突破できず、左岸を高巻いていった。
川原に降りしばらく行くと先行していた松江氏が大声を出しながら、私の行く前方を指さしていた。なんだろうと顔を上げると、目の前に頭を川の中に突っ込んだ状態で死んでいるカモシカが有り、一瞬ギョッとした。まだ、子供のカモシカの様だった。左岸の崖状のルンゼから足を踏み外して転落したのか、落石を受けたのか、死因は定かではないが、死後あまり時間がたっていないようだった。先月は、谷川の笹穴沢で滑落死体に出合っているので、カモシカの死体といえども、なんともやるせない気持ちになった。そして、また改めて、沢の危険、怖さを思い知らされた。このカモシカのような山にすむ獣でさえも、沢で死ぬことがあるのだから。
槇ノ沢出合を過ぎたあたりから両岸の樹々が紅葉してきた。朽ちかけた吊り橋も登山者や釣り人が利用していたのだろうが、今は寂寥感が漂うばかりであった。また、ガイドブックには釣橋小屋となっているが、正式には吊橋小屋であるようだ。小屋の入り口の上にそのように書いてあった。三本桂沢を過ぎると、谷はゴルジュ帯となり、5m前後の釜を持った滝を数多く架けていた。6mの釜を持った滝は、左壁にシュリンゲが残置されており、そのシュリンゲを利用して、ヘツっていったが、出口の一歩が滑りそうでイヤラシかった。次の淵を持った3mの滝も、また、左壁のヘツリ、いやトラバースト言った方が良いかもしれない、3本のピトンが打ってあり、それにシュリンゲが通してあり、また各ピトンからシュリンゲが垂れていた。そのシュリンゲを使って、トラバースしていったのだが、三本目のシュリンゲを手放して、後ろ足で立つ一歩がいかにも滑りそうで躊躇してしまった。先に登っていた松江氏、ただ笑っているだけだった。意を決して後ろ足で立って、滝の落ち口へ上がることができた。黒々としたなめらかな岩肌で、いかにも滑りそうであるが、案外すべらないものだ。ただ、枯れ葉が乗っている場合は滑る。水晶谷出合にテン場に良い場所が有ったが、広河原まで行って今夜の泊場とした。
10月12日(日) 晴れ
7時、朝めしを食べていると、単独行者が通り過ぎていった。よく独りでこのような沢に入るものだと感心する。ゴーロを少し行くと、正面に枝沢の細い滝があり、古札沢はここで直角に右に曲がり、6mの滝を架けていた。この先から、沢はナメ床が多くなり、所々に易しい滝を架けていた。水が涸れると谷は石で埋め尽くされたガレ谷となっていった。やがて左岸に大崩壊地を見る。つめはヤブコギもなく、登山道へ出た。
コースタイム
1日目:天狗トンネル8:50〜入渓点9:10〜豆焼沢出合9:20〜槇ノ沢出合12:35〜吊橋小屋13:00〜ブドウ沢出合15:20〜水晶谷出合15:45〜広河原・泊場16:30
2日目:テン場8:40〜二俣9:40〜登山道11:08〜水晶山11:35〜雁坂峠12:00-12:30
〜備考〜
入道沢・北沢と越後三山は天候に恵まれず、入渓する事ができず、残念だった。来年こそはなんとか、水無川・北沢やオツルミズ沢を遡行したいものである。今回の古札沢は、以前から入渓したい沢であったが、期待したほどではなかった。また、ナメが美しいと聞いていたが、ナメ床の切れが今一良くなかった。(記:佐藤義)