1997年8月13日(水)〜17日(日)
L越山、戸島、蔵前
今回は都合により浅井さんが参加できなくなり急遽リーダーを仰せつかった。朝日の山行は7年ぷり、また4日以上を要する本格的な沢に入るのも3年ぷりであり楽しみにしている反面不安もあるがメンバ―の期待に背かぬよう努力しよう。竹ノ沢本流水泳ルートは中俣沢遡行時に把握しているので今回は昨年岩井又沢の増水で涙をのみ朝日初入渓にもえる戸島君に突破をお願いしよう。金堀沢の右俣は11年前に宗像・佐藤パーティーの記録があるため今回は左俣に入るつもりだが二俣上部の逆S字型ゴルジュが遡行の成否を左右する核心部となりそうだ。
8月13日朝、坂町で荒川パーティーを見送りムーンライ卜えちご終点村上下車、鶴岡へ向かう八久和パーティーと別れタクシーで三面登山口に向かう。最新の週間予報によると明日以降天気はまずまずの様で夏らしい山行を楽しめそうだ。8時10分、登山道を出発。時々雨のぱらつく涼しい天候に助けられ三面小屋までは快調にとばすが初日の荷物の重さが徐々にこたえぺ-スダウン。天候の好転を確認してキスケ沢出合からすこし上流の小さい河原に幕場を定めたのは15時頃。
8月14日、昨日我々を追い抜いていった快足パーテイーが中俣沢に入ると言っていたので釣りは期待せず竹ノ沢に入渓。出合からすぐ懐かしい淵・瀞が5個所ぱかり連続し胸まで水につかりあるいは泳ぎながら進み大きな釜を持った5m滝にたどり着く。今朝方幕場の前を先行していった2人パーティーが突破に躊躇しているのでおさきに戸島君に泳ぎルートを指示し落口左リッジに取り付く。その後は小滝ぱかりとはいえ立派な淵・瀞が20余個所も続きへつり、首までつかりあるいは泳ぎ続け小滝沢到着まで竹ノ沢出合から水平距離4kmの通過に5時間半を要し体力を消耗する。
次に暗い廊下を2個所泳ぎ進んだところで瀑流を吹き出す釜が行手を遮る。戸島君と交互に泳ぎ突破を試みるが瀑流に取り付けずしかたなく釜手前の左壁を7m程登りテラス状を伝い落口に抜ける。ここは泳ぎにこだわり大分時間をくってしまい、その上のCS状の瀑流でまたまたたっぷり冷水を浴びせられ三五右衛門沢出合すぐ上の幕場に着いたのは小滝沢からさらに3時間余を要し16時5O分となった。水に浸かり続けで見た以上に疲れており乾杯をして夕飯を食べた早々皆横になり夜半起きだしまたそぞろ酒を飲む。
8月15日、好天が続き薪も豊富なため2晩連続で外で寝たためアブやカにそうとう刺されまくって手などはれているがいきなりの長い瀞泳ぎでかゆみを忘れる。次の泳ぎ最大の難所、4m滝大渕は一応釣りするもアタリなくそそくさと切り上げ戸島君に左壁沿いの泳ぎルー卜を指示し見事水流に逆らい落込み横のフェースに取り付きクリヤーしてもらう。2度目にしてもなかなか威圧的なとうとうたる流れであったが、難しいですかと不安げに顔を覗き込む彼に「どうってことないよ、楽勝。」と返事をしておいて後でザイルでひっぱってもらうと後続二名はおそろしく楽である。
続くCS4m魚止滝は右凹状壁を空身で5m程直上しクリヤー、次の渕を泳ぎ左フェースに取り付き残置ハーケンを利用して落口に抜け、岩がつるつるの瀑流突破はあきらめ右から小さく巻き相模沢出合におりたつ。次の渕は左側壁残置ハーケンにつかまり振子トラバ―ス、続く2、3の渕を抜けるとしぱし河原状の穏やかな流れとなりかなり遠方からそれと判る規模一対一の中俣・金掘の二俣に正午前導かれ金堀沢に入ってゆく。
出合奥からいきなりこれまでの水の回廊と様相を異にする5,3,4mの連瀑を左から小さく巻き越し次の二段5m滝は左壁へつり。続く二段7mは一段目を泳いで取り付き二段目右クボを小さく巻き、2-3mクラスの小滝のなかを白く美しい花崗岩の岩床を踏みしめてゆく。時々かかる雲間から再ぴ真夏の太陽が差し込んだときの景色の映えかたが素晴らしい。
8m滝は左を小さく巻き、フェースにシュリンゲのかかる5m滝は直上、3,3,6m滝は難なく越え奥ノ小滝沢着。続く6m滝上の巨大CS4m滝は左チムニー登りで抜けるが次のCS3m滝は取り付けず右草付を強引に上がり落口直上1Om程の露岩に立つが続く2本の5m前後の滝も取り付けそうもないため立木伝いにルンゼ状草付を避けつつ高度を上げトラバース、2本のルンゼを合わせる開けた河原の手前に懸垂下降。時間はまだ16時4O分とまだ少々早く行程を稼いでおきたい気持ちもあるがこの先はまたすぐゴルジュとなっており、ここは豊富な薪で暖を取り体力を回復し最終日に備えることにする。
8月16日、長い行程になりそうなのでこれまでより1時間早く7時過ぎ出発、今日も良い天気だ。ゴルジュ内の小滝をこなしてゆくと2段6m滝、左を小さく巻き落口に懸垂下降。続く3段15m滝は1段目8mを右凹状壁ハング気味を空身で乗り越えテラスに立ら続く2段、3段目は水流ぞいに突破。左から枝沢を合わせてしぱし穏やかな流れを、正面に朝露のかかった主稜線方面を見ながら進むと二俣にたどり着く。我々の行手、左俣はいきなり幅3m程のきりたった狭いゴルジュとなり地形図から予想される逆S字型の悪場に不安がよぎる。
すぐ見えている1Omナメ状滝は傾斜強いものの難なくクリヤーし、正面に見える左枝沢2Om滝出合を右に折れると5,1Omの2段滝。1段目を登り2段目の登攀ルー卜を探すが直瀑で取り付けず左草付、浮き石混じりの露岩を2Om程登る。草付が意外にしっかりしており岩もフリクションが効き難なく樹林帯に上がり落口に卜ラバースできたが露岩取り付きポイントが1段目滝落口のすぐ上で、草をつかむまでの数歩が悪く高度感を味わう。続く5,3mおよぴCS滝を越えると逆S字型ゴルジュのハイライト12m滝だ。両岸屹立立しており巻くとなれば相当のアルバイトだ。意を決して右凹状フェースを5m程登りランニングピレイをとり、突き出した岩を抱え込むようにしてぬめった水流すぐ右にきわどくトラバースしさらに5m程ぬめったバンドを水流ぞいに登り落口直下に立つがここがかぶっており水流も強く登れない,滝裏の風化した花崗岩に無理やりハーケンを叩き込みヌルヌルの岩床を流れをくぐりながら強引に水流左に振子トラバース、左フェースに取り付き落口に立つ、冷や汗ものだ。
続く中央リッジのとびだしたCS状7m滝は水流のほとんどない左側を蔵前さんのショルダーで2人が這い上がり蔵前さんは確保して中央リッジを登ってもらう。次のCS2段3m滝は取り付けず左を巻き落口に懸垂下降し逆S字を4時間半で抜けた。
沢はしぱし階段ゴーロ状となりこのまま稜線まで行けるかと思われたが2段14m滝を左巻き懸垂、1Om滝左巻きとなかなか楽をさせてくれない。再ぴ階段状ゴ一ロを行くと両岸の狭まった5m滝に出会う。左側壁トラバースルートを探るがかぷり気味の一歩が悪く水の少ない滝壷に吸い込まれ叩き付けられそうだ。ここをハーケンを打ち振子トラバースして抜けるとさすがに沢も穏やかになり主稜線の向こう側から絶え間なく湧いてくる霧の狭間に夕日に輝く相模尾根を振り返り歓声を上げながら最後はやぷこぎもなく18時4O分、登山道に飛び出す。
以東岳をめざし登る我々の視界には既に日没した西の地平線には真っ赤な残照が広がり、振り返れば稜線の東面は一面に雲海をたたえ、沢をつめ上がる私たちに絶え間なく湧いてくる霧と思わせたそれが三面側に流れ落ちるのを晧晧と照る満月の下に眺める事ができ緊張の糸が切れへとへとになり登る私を慰めてくれる。以東小屋で無事他のパーテイ一に合流。私は翌朝早立ちし、早い時間になにげなく自宅に帰り次の山行の理解を細君に取り付けるべく大鳥池に向かって駆け下った。
金掘沢左俣は二俣までみられた要所の残置ピ卜ンが確認されず、少なくとも今シーズン、あるいは久しく入渓者のないであろう静かな雰囲気であった、また源頭までいい型の岩魚が走ったことを付しておく。(記録:越山)
《コ―スタイム》
8月13日8:1O三面登山口-14:35キスケ沢出合上幕場
8月14日7:45幕場-8:05竹ノ沢出合-13:35小滝沢出合-16:50三五右衛門沢出合
8月15日8:00三五右衛門沢出合-11:35中俣沢出合-14:3O奥ノ小滝沢-16:40幕場
8月16日7:15幕場-9:05二俣-13:30逆S字型ゴルジュ上-18:40朝日主稜線